【コラム】B+COMが得たもの、失ったもの

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B+COMの新機種、B+COM 7Xシリーズは従来のB+LINKとの互換性をバッサリ切ったことで、何かと話題になっています。

これによって、Bluetoothインカムの市場構造が大きく変化すると予想されます。
本稿ではその背景と影響を整理しつつ、改めてB+COM以外の選択肢も検討することがテーマとなります。

B+LINKとは

B+COMが採用している通信規格がB+LINKです。

  • 親機(ハブ)を中心としたスター型接続
  • 親とBluetooth通信できる距離が通話可能範囲(数百メートル)

大きな弱点は、親と離れたら全員の通話ができなくなることです。
隣にいるにも関わらず通話できないもどかしさを、経験された方は多いと思います。

片やMESH方式には親子はありません。各端末が近くの端末とつながり、必要に応じて中継を行う仕組みです。
隣にいれば会話できるため、実質的な通話可能範囲は大きく広がります。

世界的にはMESH方式が主流となり、もはやB+LINKは少数派です。
技術的にはMESH方式に多くのメリットがあるため、B+COMのMESH対応は待ったなしの状況です。

今も続くメーカー縛り

Bluetoothインカムは、通話相手を同じメーカーに揃えなければ、スムーズに接続できません
MESH方式が主流になった今も、残念ながら変わっていません。

一応、ユニバーサルリンクによって他メーカーと繋ぐ方法も用意されています。
これは、緊急避難用で常用するものではありません。使い勝手が悪化するからです。

つまり、マスツーリング中に通話したいなら、その集団で主流のインカムメーカーを選ぶしかないという縛りが発生します。
経済学では、このような現象を「ネットワーク効果」と呼びます。

日本でB+COMが選ばれている最大の理由は、この競争に勝ったからです。

もっとも、LINEやMessangerなどのIP通話を使うなら、こういうメーカー縛りは無縁となります。
スマホの電波が届きにくい山中などでは通話しづらくなる弱点はありますが。

B+LINK縛りが解けた

今回の7Xシリーズから採用されたB+FLEXは、MESH方式とIP通話のハイブリッドです。
しかし、従来のB+LINKとの互換性をバッサリ切るという、割り切った移行となりました。

つまり、通話相手を含めて丸ごと7Xシリーズへ移行する必要があるということです。
改めてメーカーを選び直す機会にもなるわけです。

となると、B+COMを使用し続ける価値があるのか、改めて問われることになります。

機種税込価格接続方式装着方法
Cardo PACKTALK PRO79,800円MESHマグネット
+ロック式
SENA 60S64,680円IP通話(アプリ)
+MESH
マグネット式
Cardo PACKTALK-S63,800円MESHSHOEI COMLINK
(内蔵式)
B+COM 7X EVO59,400円MESH
+IP通話(アプリ)
マグネット
+スライド式
SENA SRL-0356,980円IP通話(アプリ)
+MESH
SHOEI COMLINK
(内蔵式)
Cardo PACKTALK NEO56,800円MESHロック式
B+COM 7X49,500円MESH
+IP通話(アプリ)
マグネット
+スライド式
Reso PILOT PRO48,400円MESH
+IP通話(インカム)
マグネット式
Reso PILOT NEO33,000円MESHマグネット式
SENA R3529,480円IP通話(アプリ)
+MESH
スライド式

こうして比較してみると、各社とも違いが見られて面白いです。

  • B+COM
    • MESH中心、IP通話もできる方式
    • 7X無印なら他社と遜色ない価格
    • ただしIP通話はβ版、こなれるまでは時間を要する
  • SENA
    • IP通話中心、電波が繋がらない場所はMESHへ移行する方式
    • 機種の選択肢も豊富、価格も手頃
  • Cardo
    • MESHのみで完結する方式
    • 高音質が評判だが、全般的に高価格
    • SHOEI COMLINK対応のMESH方式も追加(PACKTALK EDGE同等)
  • Reso
    • MESHとIP通話がシームレスに切り替わる方式(PROのみ)
    • スマホをルーターとして使い、インカム本体がIP通話をするのが特徴的
    • スマートモニターとの相性は未知数

自分たちのグループにはどのメーカーが合うか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

B+COMがしくじったこと

7Xシリーズのリリースが物議を醸した理由は3つあります。

  1. 価格が高い
  2. B+LINKとの互換性が無い
  3. 既存ユーザーへの配慮が無い

2026年3月末の発売時は、ラインナップは最上位グレードのB+COM 7X EVOのみ。
価格は税込59,400円と、従来のフラッグシップ機B+COM SB6XRに比べて12,100円アップです。
B+COMの新機種を選ぶなら6万円払うしかない、そういう印象を与えてしまいました。
7X無印が同時に発表されていれば、受け止められ方も違ったでしょう(実際の発表は1か月後)。

B+LINKとの互換性が失われたことは、特にユーザーの失望が大きかったポイント。
やむを得ない事情があったとしても、その説明が無かったこともまずかったです。

しかも、これだけ移行ハードルがあるにも関わらず、既存ユーザーへの優待販売もありませんでした。

今までB+COMを支えてきたユーザーをないがしろにしたアップデート。
そう受け止められても不思議ではない材料が揃っていました。

サインハウスは、B+LINKユーザーが簡単には離れないと判断したのかもしれません。
ですが、通話相手がB+COMを使っているから仕方なくB+COMを選んでいるユーザーは多いはず。
kurokiもYSP杉並南ツーリングの標準がB+COMだったから選んでいます。性能や品質を考慮していません。

自身の強みがネットワーク効果にあったことを見誤ったのではないでしょうか。
そこが最大のしくじりポイントだと私は見ています。

その後、発売から3ヶ月後の7月に旧機種の下取りキャンペーンが始まりました。
市場の反発は、サインハウスの想定以上だったことが伺えます。

B+LINKの復活はあるのか

B+LINKとMESHを共存するプロトコルを開発することは、技術的に困難です。
2方式の切り替えぐらいが現実的でしょう。

ですが、その切り替え機能を実現するだけでも開発と運用コストはかかります。
しかも、必要とするのはB+COMだけです。
将来にわたって技術的負債を抱えたくない、そう判断したのもやむを得ないと思います。

つまり、B+LINKの復活は期待できないと見て良いでしょう。
B+LINK対応のために更なる価格アップを受け入れるユーザーは、恐らく少ないでしょうし。

まとめ

B+COMが得たことは、MESH対応によって、通信機能でも価格でも他社と正面から戦える製品になったことです。

一方で失ったことは、ネットワーク効果です。
他社製品とフラットに比較される立場になったため、ユーザーが他社へ流れることが懸念されます。

もっとも我々ユーザーは、焦って移行する必要はありません。

B+LINKユーザーの獲得を狙って、メーカー間の競争が活発化することが予想されます。
より良い製品が、手頃な価格で入手できるようになることが期待できます。

数年も待てば、どのメーカーが主導権を握るのかも見えてくるはずです。それから選んでも遅くはないでしょう。

また、IP通話に乗り換えることもありでしょう。
メーカー縛りと無縁でいられますから、お好きなインカムを選択できますよ。

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Posted by kuroki