苦境に立つGoPro
サーキット走行のオンボード動画撮影で活躍しているDJI Osmo Action 3に、最新機種のOsmo Action 5 Proが発売されました。発売されるのを待ってましたので、速攻で購入しました!
レビューにはサーキットでのテストライドが必要なので、もうしばらくお待ちください。
ちょっとその前に、GoProについて調べたことをネタにコラムを書きました。
同時期に発売されたGoPro HERO 13 Blackを調査して、Osmo Action 5 Proとの比較・検討を行ってみたわけです。
決め手は価格
新機種GoPro HERO 13 Blackには、いくつものアップデートがあります。
Osmo Actionのメリットの一つであるマグネット台座が、ついにGoPro HERO13で採用されました。
ただし、標準の付属品ではなく、別売りのオプション品となっていますw
バッテリーサイズが大きくなり、長時間の録画ができるようになりました。
しかし、Osmo Action 5 Proも同様にバッテリーサイズが大きくなっているため、メリットになりません。
レンズ交換ができることもセールスポイントのようです。
オンボード動画撮影に必要なのはNDフィルターぐらいですが、Osmo Actionの純正NDフィルターはレンズの上から簡単に装着できるため、これもメリットになりません。
目立ったアップデートはおおむね以上ですが、GoProに乗り換えたくなるような魅力的なアップデートはありませんでした。
また、サーキット走行のオンボード動画撮影において、外部マイクによる録音は重要な要件です。
GoPro HERO13で外部マイクを使うには、メディアモッド(≒メディアモジュラー)が必要な状況は変わっていません。排熱性の下がるハウジングを装着するのではなく、小型軽量なマイクアダプターで済むと助かるんですがね。
なお、肝心の映像については両者ハイレベル。手ブレ補正も強力に効いてくれます。
それよりも何よりも、価格にエライ差があります。
以下のセットを購入した場合の価格を比較してみました(純正アクセサリー、公式ストア)。
- カメラ本体×2
- マグネット台座×2
- マイクアダプター ※リアのみ×1
- 予備バッテリー×2
- バッテリー充電器×1
DJI Osmo Action 5 Pro – 合計価格 131,120円
品目 | 個数 | 単価 | 価格 |
---|---|---|---|
Osmo Action 5 Pro スタンダードコンボ | 1 | 55,000 | 55,000 |
Osmo Action 5 Pro アドベンチャーコンボ | 1 | 69,300 | 69,300 |
Osmo Action 3.5mm オーディオアダプター | 1 | 6,820 | 6,820 |
GoPro HERO13 Black – 合計価格 174,280円 / 差額 43,160円
品目 | 個数 | 単価 | 価格 |
---|---|---|---|
GoPro Premiumサブスクリプション(初年度) | 1 | 3,000 | 3,000 |
HERO13 Black | 2 | 68,800 | 137,600 |
HERO13 Black用Enduroバッテリー2個パック | 1 | 6,960 | 6,960 |
HERO13 Black用デュアルバッテリーチャージャー | 1 | 11,040 | 11,040 |
マグネット式ラッチマウント | 2 | 3,360 | 6,720 |
メディアモッド | 1 | 8,960 | 8,960 |
これじゃGoProは買わんなぁ と、43,160円という差額を見てしみじみ思います。
なにせGoPro HERO13単品だけでも、Osmo Action 5 Proのセットより高いのです。
結局価格が決め手となり、GoPro HERO13の検討を打ち切ったのでした。
なお、Osmo Actionに十分満足していたため、Insta360 Ace Proの新機種は待ちませんでした。
GoProはプロユース向け
なぜGoProは、微妙に的を外すようなアップデートをするんだろう。
Osmo Action 5 Proのレビューを書くために調査を進めている最中、この疑問がモヤモヤとまとわりついていました。
しかし、GoProがプロユースの映像撮影に重きを置いていることに気づくと、点と点が線で結ばれて疑問が解消していきました。
GoPro HERO13のマグネット台座がオプション品なのは、競合対抗として追加したものであり、本音では推したくないのでしょう。
脱着の利便性よりマウントの自由度と軽量化を重視するのであれば、標準の同梱物にしない選択となったのも理解できます。必要ない人もいるでしょうしね。
また、多数のアクションカメラで撮影された映像と、高音質なマイクで録音された音声を、編集でミックスするプロの現場では、外部マイクはオマケでしかありません。ゆえにメディアモッドなどのオプションを介して接続する設計になっているのでしょう。
なお、小型軽量なマイクアダプターを提供しないのは、GoProの機能開発の優先度の中で外部マイクが下げられているからだと推測します。
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小寺さんのコラムによると、GoProはコンシューマーではなくプロ業界に打って出て受け入れられてきた歴史が語られています。GoPro HERO13の内容を見ると、プロユース重視の姿勢は継続中と考えていいでしょう。
なお、GoProという企業がプロユースを重視するのは、GoProの自由です。
DJIやInsta360がホビーユースに合った製品を提供していますから、我々はそちらを選べばいいのです。
やっぱりGoProは買わんなぁ と改めて思うのでした。
苦境に立つGoPro
実際のところ、GoProの売上は落ちています。
2024年4~6月の売上高は昨対比22.7%減の18,600万ドル、4,600ドルの営業損失で3期連続赤字。従業員を15%削減するリストラ策が発表され、もはや身売りが囁かれる状況です。
さらに、熱停止やバッテリー膨張といった製品の品質低下に対して不満を持つユーザーが増えています。
少なくとも品質は向上させなければ、GoProファンも離れていってしまうでしょう。
GoPro HERO13では熱停止対策がされたと聞きますが…、品質が良くなったと評価されるまでには実績と時間が必要です。
最後に
オンボード動画やモトブログの撮影のためにアクションカメラを買おうとしている方に一言。
GoProはやめときましょう。競合製品の方が機能よし品質よし価格よしです。
そんなことはない、自分のGoProは問題なく使えているぞという方は、どうぞそのままお使いください。
なお、不具合が見られるようになりましたら競合製品への乗り換えを検討してください。マウントやSDカードなどはそのまま流用できます。
GoProファンの方は…継続的に製品を買って企業を支えつつ、ユーザーの声を企業に届けましょう。これが一番効く応援です。