MT-10SP試乗ツーリング
YSP杉並南に用意されたMT-10SPの試乗車に乗ったのが、2017年4月のこと。
YZF-R1エンジンの中低速トルクを増す方向でチューニングされたCP4エンジンがすばらしく、それを支える質感の高い足回りとシャーシ、コントローラブルな操作系に心をわしづかみにされました。
正直、すごく欲しくなりましたが、結局、MT-09に踏み止まりました。
kurokiの技量とMT-09の性能が、ほどよくバランスしている今の状態を維持したかったからです。
特に、SUGOを高い速度域で走らせたときに、はたしてMT-10と自分が噛み合うことができるのか…。YZF-R1を乗りこなせずに降りた過去を思うと、ためらってしまいました。
また、ぶどう峠や田口峠などの狭いくねくね道を走るときには、軽量かつトルクフルなMT-09は有利なんですよ。
マシンとのバランスを保てる間は、もうしばらくMT-09を楽しもう。
覚悟を整えてから、MT-10に乗り換えよう。
そう判断して踏みとどまりましたが、このクラスのストリートファイターへの思いはくすぶり続けることなりました。
HONDA CB1000R試乗
6月2日。HONDAから発売されたストリートファイターに試乗してみました。CB1000Rというモデルです。
CB1000Rは低重心のコンパクトなボディで驚くほどヒラヒラと切り替えせる、俊敏なマシンです。
足回りの質感も高く、パワーユニットもスムーズ&トルクフルで、実にkuroki好みな特性。
とてもよくできたマシンだと思います。しかしハートに刺さらない!
2016年12月に乗ったBMW S1000Rも、すごいマシンと思いましたが、心に引っかからず。
理由はもう、わかっています。
パラツインエンジンのTRX850乗りになってから、エンジンからのビートを身体で感じたいという思いが、ドカンと確立しちゃってるんです。
そんなkurokiには、直四・フラットプレーンのスムーズなフィーリングは趣味に合わないのです。心の奥底から「自分が求めているのはこのマシンじゃない」という思いが湧き上がってきて抑えられないのです。
偏ったkuroki自身の趣味を再認識した後、甲州街道の反対側にあるYSP杉並南へ移動。
今さっきHonda Dream 杉並でCB1000Rに試乗してきたこと、やはりエンジンからビートを感じるマシンに乗りたいこと、現時点での候補はYAMAHA MT-10SPかKTM 1290 SUPER DUKE Rであることなどを伝えました。
また、SUGOでの挙動(特にハイスピードからのブレーキング)、くねくね峠道での挙動(特にダウンヒルでのブレーキング)が気になって、MT-09からの乗り換えに躊躇していると相談しました。
そうしたら、なんと、丸一日MT-10SPを貸していただけることになりました!
YSP杉並南の社長さんが購入した私物のMT-10SP、しかも新車を借り受けて、走りなれた峠道へ向かうのでした。
MT-10SPをいつものコースで堪能
勝手知ったるルートを走れば、MT-09との違いを把握し、MT-10SPとやっていけるかを確認できるはず。
ナビいらずで走れるルートを選択しました。
ポイント・ルート | スパルタ度 |
---|---|
大泉IC | |
↓関越道 圏央道 | |
狭山日高IC | |
↓r347 R299 r28 r193 r53 | |
名栗 | |
↓r53 | ★★ |
↓R299 R140 r209 | |
小鹿野 | |
↓R299 | ★ |
志賀坂 | |
↓R299(西上州やまびこ街道) | ★ |
↓r124 | ★★ |
ぶどう峠 | |
↓r124 r2 R141 R299 | ★ |
八千穂高原IC | |
↓中部横断道 | |
佐久北IC | |
↓R141 | |
自家焙煎珈琲こもろ | |
↓R141 r79 | |
小諸IC | |
↓上信越道 関越道 | |
大泉IC |
一般道をクルマと一緒に流れるのは、あまり苦じゃないですね。
アップライトなポジションが寄与しています。
小鹿野で給油せずに峠道に入ってしまったため、志賀坂でEMPTYランプが点灯してしまいました。
ドキドキしながら道の駅上野の隣りにあるJA上野村給油所に到着。なんとかガス欠を免れてホッと胸をなでおろしました。
想定以上にガス食いマシンですね、これは。
ガス欠の心配がなくなったところで、ぶどう峠を走り込んでみました。
ヒルクライム区間もダウンヒル区間も、2速ホールドで行けるようです。
クロスプレーンのビートの効いたサウンドを響かせながら、コーナーをクリアしていくのは快感の一言。
サスやブレーキはあたりが付いていない状態ですが、すばらしいフィーリング!SSと同等レベルです。
MT-09よりも20kg弱重い車体なので、ダウンヒルのブレーキングの制動距離が伸びます。
感覚値で2倍必要じゃないかな。逆にMT-09が反則級だったと言えますけども。
ぶどう峠を降りてなだらかな道が続くところに入ると、いい感じの撮影スポットがありました。
ショウブとMT-10SPが絵になりますね!
クルマが少なくていい感じのペースで飛ばせますので、カウルの風防チェック。
見た目は小さなカウルですが、ほどよく風を防いでくれて快適です。
SUGOで200km/h超で走っても、風圧で上半身が揺さぶられずに済みそうです。
小諸に来たら必ず立ち寄る喫茶店「自家焙煎珈琲こもろ」に到着。
レアチーズケーキ、こもろブレンドをオーダー。いつもと変わらぬ美味しさを堪能します。
帰り道は高速クルージング。関越道の上里SAではトイレのみで済ませて、ほぼノンストップで大泉ICへ移動しました。
オートクルーズを効かして走りましたが、ホント便利ですね!
右手がフリーになるのがこれだけ楽になりますし、疲労軽減に繋がります。これはクセになりますね。
アップダウンが多い上信越道でも、速度を一定に保てるのは助かりました。
今回の試乗で、くねくね峠道での挙動もハッキリ把握でき、このマシンでも行けそうという確信が得られました。
制動距離が伸びるのは仕方ないですが、これはライダーが補いましょう。
高速道路でのクルージングは、かなり快適でした。これなら退屈な高速の移動も楽になりそう。
気になったのは、航続距離とエンジンの熱気です。YZF-R1(09)に乗っていたので熱は覚悟していましたが、航続距離が短いのがショックでした。17Lも入るタンクなのに。高速メインの燃費走行ならもっと伸びるのかな?
翌日、YSP杉並南へMT-10SPを返却。代わりに自分のMT-09で帰ったのですが、MT-09が急速に色あせて感じてしまいました。
サスやシートなど車体全体が柔らかいことは疲労が蓄積しにくいのですが、エンジンフィーリングが粗雑でゲンナリ。軽量な車体でもパワーに劣るため、やけにアクセルレスポンスが鈍く感じてしまいましたよ。
もうこの時点で、次期マシンはMT-10SPにすることは決定です。
あとはいつ購入するか、タイミングの問題だけですね。
今年の9月のINTERMOTOや11月末のEICMAで、MT-10の新型が出るかを確認してから最終判断をするつもりですよ。